健全な人間関係のために十分に議論する事は欠かせません。問題点や疑問に思った事は正直に話す必要があります。しかし、その時に一番やってはいけない事は自分の意見の正しさを主張するために、誰か或いは、その意見を悪として対立構造を作り上げる事です。ディベートゲームならまだしも、同じ組織の中での議論は、より良い成熟した合意案を作り出す事が出来なくなるからです。
最近、耳にする様になった「論破」は最も良くない議論の目的です。論破とは議論して相手の説を破る事であり、相手の立場をなくす事を目的としている様に思えるからです。そこには、お互いの合意を形成する意思が感じられません。勿論、白熱した議論になると相手をやり込めたくなる気持ちが生まれる事もあります。
しかし、その時は、まだ自分が目的に真摯に向かい合えていない事を自覚しなければなりません。自分自身の考えを論理的に精査する必要があります。私も感情的な人間なので、なかなか困難ですが意識して目的を明確にするスイッチを入れる様にしています。
怒りの感情は生理現象と同じ様なものだと聞いた事があります。我慢しようと思うと怒りは増幅してしまいコントロールが難しくなります。それよりも、怒りを認めそれを吐き出す場所とタイミングをコントロールするべきだと考える方が上手く出来ます。また、怒りの感情を覚えた時、何故、怒りを感じたかを考え、だからどうしたいかを考えると冷静になれます。
理不尽な扱いを受けたのでそれを正したいのか、自分の弱点を指摘されて悔しかったのか、など。その原因によって、自分がどうするべきかが見えてきます。目的によって、それを成し遂げる為の作戦を立ててれば、良い方法が見つかるか、取るに足らない事とやり過ごすかの判断がつきます。どちらにせよ、その時は怒りの気持ちはかなり無くなってしまいます。
議論の時に生まれてしまう怒りの感情を上手くコントロールして、より深い議論をし、良い結果と堅い信頼を築きあげられたらと思います。議論の最終目的は常に「幸せな人間関係」を作るためです。絶対に幸せにしかならないと言う自信を持って、更に素敵な人生にしていきたいと思います。
2023年10月26日
園長 峯村敏弘